聖地の輿図

サモトラケ

Samothrace · エーゲ海北部のサモトラケ島、現在のギリシャ領サモトラキ島
サモトラケはエーゲ海北部の山がちな島です。西暦49年ごろ,パウロが第2回宣教旅行でトロアスにおいてマケドニアの男性の幻を見た後,一行はその夜ヨーロッパに向けて船出し,「サモトラケ島に直行」し,翌日ネアポリスへ向かいました。良い知らせが初めてヨーロッパ大陸へ届く途上で一晩停泊した寄港地です。ここでルカは「私たち」という書き方を始めており,ルカ自身が船に乗っていたことを示しています。
聖書での初出
それで,私たちはトロアスから船に乗ってサモトラケ島に直行し,翌日ネアポリスに行き,— 使徒 16:11
背景
サモトラケはエーゲ海に浮かぶ険しい山がちな島で,トロアスからマケドニアのネアポリスへ向かう航路の中間にありました。小さい島ながら古代の有名な聖地で,「大神殿」にはカベイロスの神々がまつられ,ギリシャ化時代には各地の信者が庇護と秘儀への加入を求めて訪れました。有名な「サモトラケのニケ(勝利の女神)」像はこの地で見つかり,今はパリのルーブル美術館にあります。聖書にサモトラケが登場するのは一度だけです。第2回宣教旅行で,パウロの一行は小アジア北西部のトロアスにいました。ある夜パウロは幻を見ます。「マケドニアの男性が立っていて,『マケドニアへ渡ってきて私たちを助けてください』と頼む」のでした(使徒 16:9)。ルカは,パウロがその幻を見るとすぐ,「私たちは……良い知らせを広めるためにエホバ神が私たちを招いたのだと結論して,マケドニアへ行こうとした」と記しています(16:10)。ここから筆者が「私たち」という書き方をするのは,医師ルカ自身が旅に加わったことを示しています。一行はトロアスの港から船出し,追い風を受けて北西へエーゲ海を横断しました。ルカは航海者らしく正確に記録します。「私たちはトロアスから船に乗ってサモトラケ島に直行し,翌日ネアポリスに行き」ました(16:11)。「直行し」という表現は,風に恵まれ,船が夜のうちにまっすぐサモトラケに着いたことを示します。この島のそびえ立つ峰は目印として役立ち,船は普通,風下側に一晩停泊し,翌日マケドニアの港ネアポリスへ,そして内陸のフィリピへ向かいました。こうしてサモトラケは,良い知らせがヨーロッパ大陸へ入る際の静かな,しかし重要な夜の寄港地となりました。その後聖書にこの島が再び登場することはありませんが,この一節によって,福音が西へ向かった航海の記録に永遠に刻まれました。現在のサモトラケ(現代ギリシャ語でサモトラキ)は,山岳と古代の聖所で知られるエーゲ海の島のままです。
関連聖句(新世界訳)
それで,私たちはトロアスから船に乗ってサモトラケ島に直行し,翌日ネアポリスに行き,— 使徒 16:11
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